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ベトナムの交通事情 – 発展する配車サービス

Column 06.09.2021

沖縄海邦銀行 かいぎんエコマガ vol.168 2019年 3月号掲載


ベトナムの交通はバイクが主流で、通勤時間帯の混雑模様はカオスともいえる。しかし近年は交通環境の整備が進められ、このような状況を体験できるのもあと数年だろう。そんな中で、とあるサービスが発達してきている。


1. ベトナムの交通環境

空港から一歩外へ出ると、うるさいぐらいのクラクションの音が聞こえてくる。ベトナム人はクラクションを鳴らすことに抵抗感を持っていない。周りに自分のバイクや車が近づいてきているのだという注意を促すためにクラクションを鳴らしている。日本から来たばかりの人も、はじめはこの音にびっくりするだろうが、2~3日が経つと生活音として身体がこの音を受け入れ始める。数年生活している私にとっては、ベトナムに着いてこの音を聞くと、「あぁ、帰ってきたな」と、なぜかホッ
とした気持ちにさえなる。
ベトナムの交通といえば、バイクの多さを思い浮かべる人は多いだろう。ベトナムには市内を走る電車がないため、人々の移動手段はほとんどがバイクになる。その他の交通機関として、タクシーやバスがあるが、現地の人にとってタクシーは割高であるし、ローカルバスは運転が荒く、車中で乗客同士のトラブルや犯罪等も多いため、圧倒的にバイクに乗る人の数が多いのだ。

 

2.配車サービスの需要

このような交通環境であるため、外国人はタクシーで移動する人が多かった。しかし、タクシーで移動する際は、運転手に行き先の住所を見せて、時にはスマホでマップを開き、ベトナム語しか話せないドライバーを相手に、つたないベトナム語で「右!」とか「左!」などと伝えなければ、目的地にた
どり着けなかった。
また、時には運転手に遠回りされ、お金も時間も無駄にするというストレスを感じることも多かった。
しかし、上記のようなストレスが一気に軽減されるような移動手段が普及しつつある。それは、grab(グラブ)というスマホアプリによる配車サービスだ。
grabは、一般のドライバーが空き時間と自家用車を使って行うタクシーのようなサービスだ。スマホのGPS機能や決済機能と連動しているため、とても使い勝手がいいのだ。わたし
もこの配車アプリを使ってからは、ストレスが一気に軽減した。まず、GPSで自分の現在地を自動で認識してくれる。そして、行きたい場所を地図上で指定するか、住所を入力する。それから配車予約をすれば完了である。
何と言っても、あらかじめ金額が提示されるので、距離稼ぎに遠回りされる心配がないことが非常に嬉しい。運転手も早く降ろして、次の客を見つけたいため、最適な道を選んで向かってくれる。このように時代の流れに併せたサービスを
提供する企業が増えてきたように感じる。
ちなみに、現在、ホーチミン市内は地下鉄工事が進められている。完成すれば、数年後には人々はバイクを手放し地下鉄を利用するようになるだろう。地下鉄が出来る前に一度、このカオスとも言うべきベトナムの交通事情を体験してほしい。

 

引用:  vol.168 2019年 3月号 —かいぎんエコマガ
海邦総研が企画編集し沖縄海邦銀行が月1回発行し、
沖縄の経済と経営を分かりやすく伝える「かいぎんエコマガ」
執筆者: 金城緑
企画編集:海邦総研

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