今や世界的に大ブームを巻き起こしている日本食。ベトナムでの日本食店数は1000店舗を超え、そのうちの半分以上が商業都市であるホーチミンに集中している。ホーチミンの日本食事情について紹介したい。
1. 専門食店が増加傾向に
ホーチミンにある日本食店の数はおよそ700店舗といわれている。日本食といえば、ひと昔前までは、スシ、テンプラ、トンカツと言ったところだろう。しかし、今ここに住むグルメなベトナム人はさまざまな日本食を知っており、上述したものに加えラーメン、お好み焼き、うどん、そば、カレーなど、さまざまな料理を口にする機会に恵まれている。
ホーチミン1区に位置するレタントン通りという場所を紹介したい。ここは日本町と呼ばれるほど日本人が多く集う場所である。出張者が利用しやすい日系ビジネスホテルや、会食や接待等で利用できる店が多く立ち並んでいるため、夜になると沢山の人で賑わう。
私が赴任してきた3年前まで、このエリアにラーメン屋は2、3軒ほどしかなかったが、今や10軒以上が立地している。
ラーメン屋だけでなく、トンカツ屋、もつ鍋屋、うどん屋、カレー屋、串カツ屋、焼肉屋といった専門店も増えている。これまで、居酒屋メニューのひとつでしかなかった食べ物が、専門店と
して出店しているのだ。近々テンプラ屋がオープンするという噂を耳にして、私の周りの友人たちは浮かれている。
2.日本食レストランでお酒を飲むと…
ベトナムの物価は日本よりもはるかに安い。ベトナム料理屋に入れば、大体ランチの平均価格は3~5万ドン(約150~250円)程度だが、日本食店のランチは10~20万ドン(約500~1000円)ぐらいではなかろうか。そんなに思ったほど高くないじゃないかという声が聞こえてきそうだが、夜の日本食店で食事をしてお酒を飲むとなると話は別だ。ビールは安いが、いざ日本酒や焼酎、泡盛を飲もうとすると、例えば日本で1000円程度で手に入る4合瓶の焼酎が、飲食店では約100万ドン(約5000円)となる。輸入される際の関税や輸送費が原因であるが、それを考えてもやはり割高だと感じてしまう。
このような状況であるため、日本からの出張者の手土産として一番喜ばれるものは、間違いなくお酒である。もう一つ加えるとすれば、カップラーメンだ。なぜなら、日本でも一般的に売られている銘柄がこの関税や輸送費によって、なんと500円もするのだから。飲み会後にコンビニに寄り、酔った勢いでしか買えない価格である。このように、輸入品を手に入れることは、大変贅沢なことなのだ。
3.沖縄県産品への期待
上述したように、輸入品は確かに高価ではあるが、日本食店でベトナム人にバカウケしている酒類があることもまた事実である。ブランディングと企業努力があれば、沖縄県産品も間違いなくヒットするだろう。県産品が身近な存在になれば、多少価格が高くても“それでも食べたいうちーなーむん、それでも飲みたいうちなーむん”として、多くの人々に愛されていくのではないだろうか。今後、ベトナムで県産品を気軽に口にできる日を我々うちなーんちゅは心待ちにしている。
輸入関税については、段階を追って税率が引き下げられているが、対照的に国内での特別酒類消費税は引き上げられている。結果として、いくら関税が安くなっても、最終消費者からすれば値段は変わっていない。
引用: vol.153 2017年 12月号 —かいぎんエコマガ
海邦総研が企画編集し沖縄海邦銀行が月1回発行し、
沖縄の経済と経営を分かりやすく伝える「かいぎんエコマガ」
執筆者: 金城緑
企画編集:海邦総研